ルーシーダットンとは?
ロマンを感じさせる『仙人達の自己整体法』説
ルーシーダットンのポーズは一説に120以上はあると言われ、タイ国内のお寺の壁画や古い文献には、このルーシーのやり方・効果等を示すものが残されています。
その代表がタイ古式マッサージの総本山とされるワットポーで、ルーシーのポーズを型どった石像が20体ほど現存します(本来この像は80体ほどあったようですが、盗難・略奪により現在の数に減ったそうです。今でもヨーロッパの古い名家に行けば、盗品として売られ飾られているものが見つかるかもしれない、とか・・・)。
その昔、現代の様に印刷の技術が発展していなかった頃は、人々はこれらの絵を手書きで写したり、その場で頭に叩き込むなどして、ルーシーの習得に励んだとの事です。
目をつぶって想像するに、なかなか味のある面白い光景ですね。
さて、その起源について。
タイ語の意味をそのままとれば、前述した様に、タイを含めた東南アジア一帯の山奥にいた伝説の行者たちが、修行中に自己の体調を整える為に行った、神秘的な古来の健康法と言う事になります。これは現在、最も一般的に唱えられている説の一つであります。
しかしこの説は、ルーシーダットンやタイ古式マッサージ・タイハーブ等のタイ古来の医学・健康法を、まとめ上げて一般の人々に推奨したラマ王の時代に、信心深いタイ人達に広める為に作り上げられた一種の創作であると言えます。
つまり信仰深いタイの人々が“心の師”と仰ぐ行者達が行っている健康法とすれば、民衆により受けられやすいと考えたのでしょう。
インドのヨガとの関わりは?
ルーシーダットンの起源としてよく議論されるもので、“ヨガ説”というのがあります。
タイの国立図書館にある伝統医学者の研究文献の中には、タイ古式マッサージが古い時代にアーユルベーダを起源としてインドから伝わったとされる説と並べ、ルーシーダットンもヨガを起源とするという説が、研究結果が残されています。
しかしながら、現在残されているルーシーとヨガのポーズを比較してみれば、その共通性がほとんど見られない事に気が付きます。
昔、タイ国内でルーシーが盛んに行われていた時代に、隣のインドで似た様な健康法(ヨガ)があると聞きつけたルーシー研究家が偵察に出かけ、その影響を多少なりとも受けたとの説もあります。
同じような健康法として太極拳との比較もされますが、勿論これも同じと言えるポーズはほとんど見受けられません。
やはり太極拳は拳法という闘いをルーツにしたものですから、比較する事自体が無理があるのかもしれません。
ともあれ、ヨガ/太極拳共に隣国の文化、長い時代の中では多少の関わりがあったにせよ、そのままルーシーの起源であるとするには、かなり無理があると言ってよいのでしょうか・・・。
オリジナル文化としてのタイ国内での歴史・発展、そして現状
さて、ルーシーのタイ国内における起源・発展過程として残っている面白いものが、タイ古式マッサージの被施術者、つまり『マッサージを受ける側の人が行う、施術を受ける前のウォーミングアップ』として生まれたとする説です。
そしてそれがいつの日か、施術を受けられない貧しい層に自分で出来るマッサージとして受け継がれ、発展していったのです。
何はともあれ、前述した様に、ルーシーはどこの国から流れてきたものではなく、タイ独自の文化として生まれ、発展したものである様です。
ルーシーの方法と効果を示したタイの壁画や古文書の文章の中に、“タイ・ダンスを舞う時の様に”とか、“ムエタイのワイクルー(戦いの舞)”との表現があります。
ここでタイを代表するこの2大文化が登場している事は、ある意味ルーシーがタイ独自の文化である事を表しているのかもしれませんね。
そして現代へと時代は移り、ルーシーダットンはタイ保健省直轄のタイマッサージ師養成学校において、『マッサージを施される機会が少ないマッサージ師が、自己の体調管理および精神安定の為に必ず身に着けなければならないもの』とし、必須プログラムとして組み込まれています。
タイのマッサージ屋に行って、マッサージ師さん一人一人に、『あなたはルーシーダットンが出来るか』と聞いてみると、何人かに一人が出来ると答えます。この方は保健省の伝統医学教習所を卒業された方であると思われます。きっとマッサージも上手いはず・・・。
ところで、当連盟の顧問のアユタヤのター先生も、このタイ保健省スタイルの達人の一人。
三十年近く一日も欠かさず、毎朝五時に起床と共に一時間近く行ってきた“含蓄”が生むそのポーズの美しさには、思わず魅入ってしまうものがあります。50歳に近いター先生ですが、『自分が健康で病気一つしないのは、このルーシダットンのお陰だ』と強く言い切ります。一日中休み無く患者に施す体力と、その体の柔軟性、そして見た目の若さには、本当に驚かされます。
また、最近タイ古式マッサージの総本山とされるワットポーでも、マッサージ師達が毎朝ラジオ体操の様な感覚で、つまり自分達の自己健康管理として、独自のルーシーダットンを行っています。但し、下が石畳の為、立位のポーズに限られている事、そしてタイ国内でも富裕層には人気のヨガのポーズが何個か取り入れられているのが、その特徴といえます。
その効能と特徴 〜 幅広い層にアピール
ルーシダットンのポーズには、その数の多さの割には、インド式ヨガのポーズに数多く見られる卓越した体の柔軟性や、現在日本でも若者を中心にブームのアメリカ式ヨガ(パワーヨガやピラティスなど)の様な筋力・体力が要求されるものが、ほとんど無いと言えます。これは幅広い層が気楽に参加し、長く楽しみながら健康を維持できる、非常に優秀な健康法である事を、意味しています。
またその特徴の一つとして、インド式ヨガや西洋式ストレッチの基本とは異なる呼吸法(伸ばす時に吸う、ポーズで息を止める、戻す時にゆっくり吐く)が挙げられます。これはリラクゼーションをもたらすだけでなく、体の温度を内側から上げ、血液循環を活発にする効果があります(体の血液の流れが活発になる事は、タイ伝統医学が最も重視する健康効果の一つです)。
さらに、故郷を同じくするタイ古式マッサージと同様、体全体の血液やリンパの流れに最も影響する『足』を重点的に鍛え、刺激するポーズが多いのもその特徴です。足痩せや、お腹周りのダイエットにも、非常に効果的であると言えるでしょう。
さてさて、何はともあれ!
この微笑の国から来た新しい、そして素晴らしい健康法を、皆様、一緒にサヌッ(楽しく)して、サバーイ(心地よく健康に)になりませんか!?
ところで起源について余談・・・。
私の個人的な説なのですが、現存するルーシーのポーズ全てにチャレンジしてみると、座禅を組んだ体勢のまま、体の一部分を少しずつ“何気なく”動かすものが多数あることに気が付きます。
一説によれば、修行が始まれば、何日間も続けて同じ座禅の姿勢をとり続けなければならなかった山奥のルーシー(仙人)たち。師匠や仲間の手前、なるべく体勢が崩れないまま(座禅したまま)凝った体の各部分を整えなければならなかった事でしょう。そんな仙人たちの工夫の結晶が、幾つかのポーズを編み出している様な気がしてなりません。
とすると、やっぱり仙人たちの健康法だったでしょうかね?まあ、こちらのがロマンが広がりますよね・・・!
ルーシーダットンのポーズは一説に120以上はあると言われ、タイ国内のお寺の壁画や古い文献には、このルーシーのやり方・効果等を示すものが残されています。
その代表がタイ古式マッサージの総本山とされるワットポーで、ルーシーのポーズを型どった石像が20体ほど現存します(本来この像は80体ほどあったようですが、盗難・略奪により現在の数に減ったそうです。今でもヨーロッパの古い名家に行けば、盗品として売られ飾られているものが見つかるかもしれない、とか・・・)。
その昔、現代の様に印刷の技術が発展していなかった頃は、人々はこれらの絵を手書きで写したり、その場で頭に叩き込むなどして、ルーシーの習得に励んだとの事です。
目をつぶって想像するに、なかなか味のある面白い光景ですね。
さて、その起源について。
しかしこの説は、ルーシーダットンやタイ古式マッサージ・タイハーブ等のタイ古来の医学・健康法を、まとめ上げて一般の人々に推奨したラマ王の時代に、信心深いタイ人達に広める為に作り上げられた一種の創作であると言えます。
つまり信仰深いタイの人々が“心の師”と仰ぐ行者達が行っている健康法とすれば、民衆により受けられやすいと考えたのでしょう。
インドのヨガとの関わりは?
ルーシーダットンの起源としてよく議論されるもので、“ヨガ説”というのがあります。
しかしながら、現在残されているルーシーとヨガのポーズを比較してみれば、その共通性がほとんど見られない事に気が付きます。
昔、タイ国内でルーシーが盛んに行われていた時代に、隣のインドで似た様な健康法(ヨガ)があると聞きつけたルーシー研究家が偵察に出かけ、その影響を多少なりとも受けたとの説もあります。
同じような健康法として太極拳との比較もされますが、勿論これも同じと言えるポーズはほとんど見受けられません。
やはり太極拳は拳法という闘いをルーツにしたものですから、比較する事自体が無理があるのかもしれません。
ともあれ、ヨガ/太極拳共に隣国の文化、長い時代の中では多少の関わりがあったにせよ、そのままルーシーの起源であるとするには、かなり無理があると言ってよいのでしょうか・・・。
オリジナル文化としてのタイ国内での歴史・発展、そして現状
さて、ルーシーのタイ国内における起源・発展過程として残っている面白いものが、タイ古式マッサージの被施術者、つまり『マッサージを受ける側の人が行う、施術を受ける前のウォーミングアップ』として生まれたとする説です。
そしてそれがいつの日か、施術を受けられない貧しい層に自分で出来るマッサージとして受け継がれ、発展していったのです。
何はともあれ、前述した様に、ルーシーはどこの国から流れてきたものではなく、タイ独自の文化として生まれ、発展したものである様です。
ルーシーの方法と効果を示したタイの壁画や古文書の文章の中に、“タイ・ダンスを舞う時の様に”とか、“ムエタイのワイクルー(戦いの舞)”との表現があります。
ここでタイを代表するこの2大文化が登場している事は、ある意味ルーシーがタイ独自の文化である事を表しているのかもしれませんね。
そして現代へと時代は移り、ルーシーダットンはタイ保健省直轄のタイマッサージ師養成学校において、『マッサージを施される機会が少ないマッサージ師が、自己の体調管理および精神安定の為に必ず身に着けなければならないもの』とし、必須プログラムとして組み込まれています。
タイのマッサージ屋に行って、マッサージ師さん一人一人に、『あなたはルーシーダットンが出来るか』と聞いてみると、何人かに一人が出来ると答えます。この方は保健省の伝統医学教習所を卒業された方であると思われます。きっとマッサージも上手いはず・・・。
ところで、当連盟の顧問のアユタヤのター先生も、このタイ保健省スタイルの達人の一人。
また、最近タイ古式マッサージの総本山とされるワットポーでも、マッサージ師達が毎朝ラジオ体操の様な感覚で、つまり自分達の自己健康管理として、独自のルーシーダットンを行っています。但し、下が石畳の為、立位のポーズに限られている事、そしてタイ国内でも富裕層には人気のヨガのポーズが何個か取り入れられているのが、その特徴といえます。
その効能と特徴 〜 幅広い層にアピール
ルーシダットンのポーズには、その数の多さの割には、インド式ヨガのポーズに数多く見られる卓越した体の柔軟性や、現在日本でも若者を中心にブームのアメリカ式ヨガ(パワーヨガやピラティスなど)の様な筋力・体力が要求されるものが、ほとんど無いと言えます。これは幅広い層が気楽に参加し、長く楽しみながら健康を維持できる、非常に優秀な健康法である事を、意味しています。
またその特徴の一つとして、インド式ヨガや西洋式ストレッチの基本とは異なる呼吸法(伸ばす時に吸う、ポーズで息を止める、戻す時にゆっくり吐く)が挙げられます。これはリラクゼーションをもたらすだけでなく、体の温度を内側から上げ、血液循環を活発にする効果があります(体の血液の流れが活発になる事は、タイ伝統医学が最も重視する健康効果の一つです)。
さらに、故郷を同じくするタイ古式マッサージと同様、体全体の血液やリンパの流れに最も影響する『足』を重点的に鍛え、刺激するポーズが多いのもその特徴です。足痩せや、お腹周りのダイエットにも、非常に効果的であると言えるでしょう。
さてさて、何はともあれ!
この微笑の国から来た新しい、そして素晴らしい健康法を、皆様、一緒にサヌッ(楽しく)して、サバーイ(心地よく健康に)になりませんか!?
ところで起源について余談・・・。
私の個人的な説なのですが、現存するルーシーのポーズ全てにチャレンジしてみると、座禅を組んだ体勢のまま、体の一部分を少しずつ“何気なく”動かすものが多数あることに気が付きます。
一説によれば、修行が始まれば、何日間も続けて同じ座禅の姿勢をとり続けなければならなかった山奥のルーシー(仙人)たち。師匠や仲間の手前、なるべく体勢が崩れないまま(座禅したまま)凝った体の各部分を整えなければならなかった事でしょう。そんな仙人たちの工夫の結晶が、幾つかのポーズを編み出している様な気がしてなりません。
とすると、やっぱり仙人たちの健康法だったでしょうかね?まあ、こちらのがロマンが広がりますよね・・・!